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トレーニング方法

ランニングフォーム

前進する力にブレーキをかけない

ランニングフォームに正解はありません。千人のランナーがいれば千通りの走り方があります。たとえばオリンピックのマラソンを見ても、選手のフォームはみな個性的でしょう。なぜなら、人間の体型や骨格は人それぞれなので、フォームも一人ひとり異なって当たり前なのです。

ですが、トップアスリートのフォームにはひとつだけ共通点があります。それは、前進する力に対してブレーキをかけていないこと。つまり、走るために最も効率のよい走りをしているのです。効率よく前進するためには、抑えておくべきポイントがあります。以下、みていきましょう。

背筋を伸ばし、体に軸が通っているイメージを

まずは姿勢です。背筋を伸ばし、頭から脚まで一本の軸が通っているイメージを持ちましょう。胸を張ろうとして上体をそりすぎたり、反対に、前に進もうと前傾しすぎるのはよくありません。背中を丸めたり、おしりを突き出した姿勢ものぞましくありません。

とりわけ、おしりが突き出た姿勢は、前進する力にブレーキをかけかねません。おしりが突き出る姿勢は、腰が引けている、腰の位置が落ちていると考えられます。腰が低くなる理由のひとつは、腰が引けて接地のポイントが重心の真下になっていないからです。その姿勢のまま腰の位置を高くしようと意識すると、キックの力が上に向かい、ポンポンと跳ねたような走り方になりかねません。よって、腰が低いと感じる場合、あるいは誰かに指摘された場合、まず重心の真下で接地するよう心がけてみましょう。

腰の位置を高く保つイメージが強くなると、上下動も激しくなりがちです。したがって、腰の位置を一定に保ちつつ、脚の付け根から前に振り出し、あくまで前に進むイメージを持って走ってみましょう。

正しい姿勢を保つコツは、腹筋をしめ、丹田(おへその真下あたり)が前方に引っ張られているイメージで走ることです。上半身が下半身にしっかりと乗り、一本の軸ができていれば、その感覚を理解できるはずです。

体重移動と股関節の動きが最大のポイント

スムーズに走るための最大のポイントは、体重移動と股関節の動きです。この感覚をつかめば効率よく走れると思います。

まず股関節の動きです。走る際は無理に脚を前に振り出そうとしてはいけません。股関節をしっかりと動かし、脚の付け根から前に振り出すイメージを持ちましょう。股関節のひねりを利用すれば、自然と脚が前に振り出されるはずです。股関節の動きと連動し、腰の回転もうまく利用するといいでしょう。

こうして自然に振り出した脚が接地する際、重心の真下に体重が乗るイメージをしてください。接地の瞬間に体の軸ができていれば、体重が乗っただけで体が前進する感覚がつかめるはずです。股関節を使って脚が自然と振り出され、重心の真下に体重を乗せることで、勝手に体が前に動き出す、このイメージです。この連続で走れば疲れず、効率的に長い距離を走れるでしょう。

スピードを出そうと思ったとき、無理に地面を蹴ったり、無理に脚を前に出そうと意識しないほうがいいです。そうではなく、股関節の前後の動きが大きくすれば、勝手にスピードは上がっていきます。

体重移動での注意ポイントは、上に跳ねないことです。上に跳ねるということは、推進力が上に逃げているということ。だから股関節をうまく使い、脚の付け根から前に振り出すイメージと、地面を蹴るのではなく押し出すイメージを持ちましょう。そうすれば、上に跳ねずグイグイと前に進む効率のよいランニングフォームになるはずです。

接地の基本はカカトから

接地の基本はカカトからです。重心の真下にカカトを置く意識です。地面を引っかくイメージではなく、あくまで〝置く〟感覚を意識しましょう。カカトで接地し、次に足裏の外側を重心が移動し、最後は親指の付け根付近で地面を押し出す感じです。地面を蹴るのではなく、あくまで押すイメージを大切にしてください。

最近は足の裏全体で接地する「フラット走法」や、つま先で接地する「フォアフット走法」を推奨するトレーナーもいるようです。しかしこれらの走法はトップアスリートがマスターするもので、ランニング初心者の方がフラット走法やフォアフット走法を取り入れるのはおすすめできません。

まず初心者の方がフラット走法をしようとした場合、足裏全体で接地しようとする意識が強くなり、バタバタ走りになる可能性があります。子どものようにバタバタと音を立てて走る。こういえばイメージできるでしょうか。接地に意識が向きすぎると、膝が曲がり、腰が落ち、フォームが崩れてしまうはずです。

フォアフット走法に関していえば、トップアスリートでもマスターするのは難しいといえます。脚力の強いアフリカの一部の選手をのぞき、日本の一流選手でもフォアフット走法で走っている人はすくないと思います。

2012年1月2日に放送されたNHKのテレビ番組『地球イチバン』で、ケニアのマラソン選手の速さの秘訣が特集されていました。その番組では、ケニアの選手の強さの理由のひとつにつま先接地があると伝えています。アフリカの荒れた大地をつま先で接地し、カモシカのようなバネで走り続けていたのです。

その映像を見たバルセロナ五輪銀メダリストの有森裕子氏は、「つま先接地は、足腰の強靭な筋力があるケニアの選手だからできることで、日本人は体質的に難しい」と語っていました。オリンピックメダリストでさえ、日本人には難しいとの見解を述べているのです。初心者がマスターできるはずもありませんね。

フォアフット走法を提唱する人は、短距離選手の走りを例に出すケースもあるようです。たしかに短距離選手はカカトから接地せず、つま先接地で走り抜きます。これは当然で、全力疾走しながらカカトを接地するほうが難しいといえます。短距離走と長距離走の走りは違うと考え、ランニング初心者の方々は、基本通りカカトからの接地を心がけましょう。

股関節の動きは、肩甲骨の使い方がカギを握る

股関節をうまく動かすためには、実は上半身の肩甲骨の動きが密接に関わっています。わたしたち人間の体は、体全体の各部位がリンクしつつ、全体のバランスが保たれています。体のどこかが痛くなれば、まったく別の場所が痛くなるのもそのためです。ですので、股関節を大きく動かすためには、肩甲骨を大きく動かす必要があるのです。

股関節を使った効率的な走りをめざすとき、同時に上半身をリラックスさせ、肩甲骨をやわらかく、大きく動かしてみましょう。あわせてリズミカルに腕を振ることで、上半身と下半身のリズムがあってくるはずです。

腕の振りは、うしろに引くイメージを

腕の振りは、前に振り出すよりも、うしろに引くイメージを持つほうがいいようです。肘はおおむね90度に曲げ、肩の力を抜き、引きを意識しつつ自然に振ります。肩に力が入り、肩甲骨の動きが固くなると、下半身の動きも連動して固くなります。よって肩に力が入りやすい人は、肩の力を抜いた腕振りを意識しましょう。たとえば肩に力をグッと入れ、脱力。これを数回行い、肩に力が入った状態を感覚で意識し、そのうえで肩の力を抜いた状態も感じます。そうすれば、リラックスした状態での腕振りが意識しやすくなります。ランニングの最中でも、ときおり両腕を脱力させ、上半身を意識的にリラックスするのもいいでしょう。

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