体のケア―アイシング
血行がよくなり、疲労物質を除去する働きが
日々のケアで取り入れたいのがアイシングです。なぜなら、アイシングには、筋肉の疲労を改善する効果と、筋肉の炎症を緩和する効果のふたつが期待できるためです。プロ野球のピッチャーが、試合後の記者会見で肩を大きく膨らませている映像をご覧になられたことがあるでしょう。試合後すぐ、酷使した肩をアイシングし、疲労を取り除こうとしているのです。
アイシングによって筋肉疲労を改善したり、筋肉の炎症を緩和する効果が期待できるのはなぜでしょうか。それは血行が関連します。アイシングをすると一時的に血管が収縮し、血液循環が鈍くなります。次にアイシングを終えると、今度は冷やす前よりも血管が広がり、血行がよくなります。こうして血の巡りがよくなることで、疲労物質を除去する働きが生まれるのです。
水道水やお風呂を有効利用
日々のアイシングでは、ランニング後すぐに水道水を10~20分程度、疲労を感じる部位にかけてあげるといいでしょう。トレーニング後、できるだけ早くアイシングをおこなってください。練習後に時間が空くほど、アイシングの効果が薄れてしまうからです。
日々のケアでは、お風呂も有効に利用するといいでしょう。お風呂に入った際、湯ぶねに数分つかったのち、冷水を10秒ほどかけます。これを5回ほど繰り返すと、アイシングの効果が得られます。ただし、トレーニング後すぐにおこなうのに比べると、アイシングの効果が薄れると考えておいてください。
氷のうの使用は注意が必要
水道水をかけるといっても、とくに夏場は水がなまぬるく、アイシングの効果が期待できません。その場合、氷や氷水を使ったアイシングの方法もあります。氷や氷水を入れて冷やす氷のう(アイスバッグ)を使うと便利です。あるいは、ビニール袋などに氷を入れて使う方法もあります。
氷や氷水を使ったアイシングの場合、体を冷やす時間は10~20分を目安にしてください。あまり長く冷やしすぎると凍傷になる危険性があります。また、氷のうなどに氷を入れる際、ギンギンに冷えた状態ではなく、氷が解けて水に浮いているくらいの状態でアイシングに使いましょう。氷がギンギンに冷えた状態では凍傷の危険性があります。
緊急の場合はコールドスプレーの活用も有効です。たとえばレース中に捻挫などで歩けなくなった際、コールドスプレーで一時的に痛みを麻痺させるなどの目的で使います。ただし、コールドスプレーの使用はあくまで応急処置で、筋肉疲労や炎症の改善効果は期待できないと考えていたほうがいいでしょう。